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空き家改修事例

ここでは、「空き家・中古住宅リフォームコンテスト」に応募いただいた事例をご紹介しています。

事例
若宮の贈与型賃貸住宅

空き家・中古住宅を購入・改修した経緯

私がこの事業を志した背景には、幼少期に抱いた「自分の家が欲しい」という切実な夢があります。離婚により母一人で育てられた私は、アパートや団地で暮らす中で、マイホームへの強い憧れを抱いていました。後年、なぜ一軒家ではなかったのかと母に尋ねると、返ってきたのは「ローンが通らなかったから」という一言でした。収入が多くないシングル世帯にとって、家を持つことはあまりにも遠い夢なのです。転機となったのは、長崎で知った「贈与型賃貸住宅」という希望の光でした。空き家を改修した住宅に10年間住み続けると、その家が自分のものになる。この画期的な仕組みは、経済的な理由でマイホームを諦めていた方々に、新たな選択肢を提示できると直感しました。「この素晴らしい取り組みを、地元・佐賀で始めたい」。その想いを胸に抱いていた矢先、解体業を営む知人から、ある空き家を紹介されました。その物件は、佐賀市の土地に占有許可を得て建てられているという状況から、有効な活用策が求められていました。そこで私は、温めてきた「贈与型賃貸住宅」の構想を関係者の皆様にご説明しました。すると、所有者様から「ぜひ、そのアイデアでこの家を活かしてほしい」と力強いご賛同をいただくことができ、弊社で建物を買い取り、改修する決断をいたしました。この家が、かつての私のように夢見る誰かの未来への贈り物となることを、心から願っています。

 

工夫した点・アピールポイント

私たちのプロジェクトは、単なる空き家改修ではありません。「創意工夫」「コスト削減」「既存住宅の有効利用」を徹底し、住む人の未来を支える家づくりを目指しました。【最大の強み:命を守る安全性】最もこだわったのは、安心・安全な暮らしの提供です。旧耐震基準で耐震評点0.4だったこの家を、弊社独自の低コスト工法で補強。評点を約3倍の1.23まで引き上げ、大地震にも耐えうる頑丈な住まいへと生まれ変わらせました。古い家でも、工夫次第で確かな安心を提供できることを証明できたと自負しております。【心に寄り添う設計】今回は改修前に、お子様3人を持つシングルマザーの入居者様と出会うという幸運に恵まれました。そこで、私たちは設計プランを白紙に戻し、「子供部屋が3つ欲しい」というご家族の夢をヒアリング。その声を元に間取りを考え、世界に一つだけの住空間を創り上げました。【賢い資源活用と資金計画】使える建具や壁はあえて残し、既存住宅の趣を活かすことで大幅なコスト削減を実現しました。さらに、本事業は佐賀県の「居住支援推進空き家利活用モデル事業」にも採択され、100万円の補助金を獲得。これを原資に、キッチンや洗面台、トイレといった水回りの設備を充実させることができ、入居者様の満足度向上に繋げました。安全性とコスト、そして住む人の想い。そのすべてを両立させた今回の取り組みが、新たな空き家活用のモデルケースとなると確信しております。

苦労した点

このプロジェクトで最も大きな壁として立ちはだかったのが、厳しい予算とインフラの制約でした。「誰もが手の届く家賃で」という理念を実現するため、改修予算はごく限られていました。その中で最大の難題となったのが、排水の問題です。敷地のすぐ東側を水路が流れているため、物理的に公共下水道へ接続することができませんでした。あらゆる可能性を探り、専門家とも協議を重ねましたが、根本的な解決は困難を極めました。最終的には、入居者様にご理解をいただいた上で、汲み取り式とする苦渋の決断をしました。限られた予算と立地の中で、ご家族が安心して快適に暮らせる環境を創り出すため、一つひとつの課題に真摯に向き合った改修でした。

 

空き家・中古住宅を利用してよかった点

空き家・中古住宅の最大の魅力は、活かし方次第で、新たな社会的価値を生み出せる「可能性の宝庫」であるという点です。放置された空き家は、所有者の方にとって重い負担となる「負動産」です。しかし、少し視点を変えれば、未来を担う子どもたちのために「安心して帰れる場所」として再生させることができます。特に、ご自身の代で家を壊すことにためらいを感じておられる所有者の方にこそ、知っていただきたいのです。その家は、壊さずとも未来へ貢献できる存在です。私たちが推進する「贈与型賃貸住宅」のように、マイホームを必要としているシングル世帯の夢を応援する住まいとして活用する道があります。空き家を「悩みの種」で終わらせるのではなく、誰かの夢を応援する「希望の種」として社会に繋いでいく。そんな活動の輪を、これからも広げていきたいと強く願っています。

 

 

BEFORE AFTER

 

 

 

物件詳細

物件建築時期 1946年(昭和21年)4月
改修工事期間 3か月
費用(空き家・中古住宅購入費) 1,000,000円
費用(改修工事費) 2,608,435円
改修後の用途 シングル世帯を対象とした贈与型賃貸住宅
主な改修内容 耐震補強、和室を洋室に変更、子供部屋の間仕切り増設、外部塗装、雨漏れ改修、キッチン交換、トイレ交換、洗面台交換、浴室リペア

設計・施工者情報

設計・施工者 株式会社新成工務店
ホームページ https://shinsei-komuten.com/(外部サイト)
メールアドレス info@shinsei-komuten.com
電話番号 0952-65-5003

 

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